憲法総論の定義集

憲法総論の法律用語の定義集です。


憲法総論の定義集
用語定義(または制度趣旨)詳解
憲法(広義)政治的権力の基本的在り方を決めている法規範。固有の意味の憲法とも呼ぶ。
憲法(狭義)権力を制限することにより事由を保障しようという考えを基本理念とする法規範。立憲的意味の憲法あるいは近代的意味の憲法と呼ぶ。権力の制約を内容とする。
実質的意味の憲法憲法がどのような形態をとって存在しているかとは関係なく、その内容に着目して捉えた場合の憲法概念。19世紀後半のドイツ公法学による区分。
形式的意味の憲法憲法という形態をとって存在している憲法という概念。 19世紀後半のドイツ公法学による区分。
憲法の法源実質的意味の憲法がとっている存在様式。成文法源と不文法源とがある。
憲法慣習憲法に関する、憲法規定に反しない内容の先例が長期にわたり反復され、その先例に法的価値を承認する広範な国民の合意が成立し、法的性格を獲得したもの。不文法国における慣習憲法とは異なる。憲法規定に反する慣習については憲法の変遷の問題になる。
憲法判例ある法や行為が合憲か違憲か、またそれはいかなる理由によってかという憲法問題についての判例のこと。成文法国では判例は法的拘束力をもつとはいえないが、法的安定性の上から事実上の拘束力をもつと解されている。
成文憲法憲法典が存在している憲法のこと。憲法典とは、実質的な意味の憲法に属する規範の重要部分を体系的に編成したもののこと。それが存在しない憲法は不文憲法という。
硬性憲法憲法改正手続につき、通常の立法手続より困難な手続が定められている憲法のこと。硬性とする理由は、憲法制定権者が選択した基本価値を立法者による侵害から守ることにある。立法に関して代表制が採られている場合は、制憲者が立法への直接な参加権を有していないから、憲法を硬性とする必要性が強い。憲法改正手続につき、通常の立法手続と同じ手続で足りる憲法のことは軟性憲法という。
欽定憲法君主が国民に授けたという形を採っている憲法のこと。国民が制定したという形を採っている場合を民定憲法という。その他、協約憲法、条約憲法というものもある。
規範的憲法書かれた憲法が、社会的経済的・風土的諸条件により、治者・被治者の双方により遵守された「生ける憲法」になっており、成典憲法が現実に適用されていること。法的には効力を有するにもかかわらず、政治的教育・訓練とか、独立的中産階級の存在とかといった諸条件を欠くために、現実の政治の中で「生ける憲法」となっていない場合を『名目的憲法』という。また、憲法は完全に適用されているが、しかし、その憲法は既存の権力保持者の利益のために現状の権力関係を凍結するような内容のものである場合を『歪曲的憲法』という。
憲法規範の特質他の法規範と比較した場合の憲法という法規範の特質いかなる意味の憲法を念頭におくか、他のどの法規範と比較するかによって、浮かび上がる特質はさまざまである。立憲的意味の憲法については、基本的価値の序列、制限規範、授権規範、最高規範などの特質が挙げられる。
憲法の最高法規性憲法が他の法規範に優位すること。(後日記載)
権力からの自由権力を制限し権力が個人の自由の領域に不当に介入することを阻止することによって獲得される自由のこと自由権がこれにあたる。近代立憲主義の基本原理。
権力への自由個人が権力に参加し、究極的には自らが権力の主体となることによって得られる自由のこと参政権がこれにあたる。
権力による自由自由の物質的基礎を権力によって提供してもらうことによって得られる自由のこと社会権がこれにあたる。
法の支配権力が治者の恣意的な意思によってではなく、予め存在する法に従って行使されること人の支配に対立する原理。
形式的法治国家論 法律優位の原則、法律のみが法規を創造できるという原則、法律の留保の原則のこと。
法規国民の権利を制限し、あるいは義務を課すことを内容とする法規範 
法律の留保これは行政権が国民の権利を制限し、あるいは義務を課すには、法律の根拠が必要であるという原則。 
権力分立 厳格な権力分立類型として大統領制、緩やかな権力分立類型として議院内閣制とがある。
ナシオン主権とプープル主権 前者からは制限選挙と命令委任の禁止が、後者からは普通選挙と命令委任がそれぞれ導かれる。
明治憲法  
統帥権の独立  
臣民の権利  
国民主権  
天皇  
象徴  
元首  
国事行為  
内閣の助言と承認  
公的行為  
摂政  
臨時代行  
私的行為  
皇室  
皇室財産  
皇室の財産授受の制限  
平和主義  
自衛隊  
基本的人権の尊重  
国民  
主権  
国家固有の領域を基礎に組織され、その構成員(国民)に対し支配権をもつところの集団領土、国民、統治権(主権)が国家を構成する三要素。
国旗国歌法  
憲法改正の限界憲法改正手続によって内容が自由に変更できるか、それとも限界が存在するのかという問題のこと。国民主権(主権の所在)、基本的人権の尊重など、憲法の根本原理につき特に問題になる。限定説と無限定説とが対立。
八月革命説  

憲法総論の論点集
論点問題の所在詳解                                                             

<参考文献>
芦部信喜『憲法(新版・補正版)』(岩波書店、1999)
野中俊彦他『憲法T(第三版)』(有斐閣、2001)




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