憲法人権の法律用語の定義集です。
用語 | 定義(または制度趣旨) | 詳解 |
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人権 | ||
人権の享有主体性 | ||
公共の福祉 | ||
法人の人権 | ||
外国人の人権 | ||
未成年者の人権 | ||
人権の私人間効力 | 憲法は国家と個人との法律関係を規律するのが原則。個人間の法律関係は民法をその他私法によって規定される(間接適用説、通説)。 | 間接適用説からも、労働基本権など一定の規定は私人間にも適用される。 |
特別権力関係 | ||
公務員の人権 | ||
在監者の人権 | ||
プライバシー権 | ||
人格権 | ||
法の下の平等 | すべての人は法的な取扱いにおいて平等であるということ。 | 個人の尊厳にその根拠がある。法適用だけでなく、法内容の平等も当然要求されると考えられている(立法者拘束説、判例・通説)。 |
平等原則 | 国家は国民を不合理に差別してはならないという原則。 | 14条1項、24条、26条、44条。ここでの平等とは、形式的平等を意味する。合理的区別は許容されると解されている。14条1項の後段に列挙された事由は例示であるので、他の事由にもとづく差別的取扱いにも平等原則は適用される。 |
平等権 | 法的に平等に扱われる権利または不合理な差別をされない権利。 | 14条。他の人権とは異なり、平等権は常に他者との比較においてのみ問題になるもので、その意味では相対的な権利であり、あるいはそれ自体としては無内容ないし無定形の権利であるといわれる。 |
形式的平等 | 人の現実のさまざまな差異を一切捨象して原則的に一律平等に取り扱うこと。 | 機会平等を意味する。 |
実質的平等 | 人の現実の差異に着目してその格差是正を行うこと。 | 結果の平等または配分の平等という。日本国憲法において実質的平等は、平等原則によってではなく、社会権によって実現されるべきものと解される。 |
合理的な区別の判断 | 違憲審査基準につき、合理性の基準(判例)で足りるかより厳格な基準を用いるか争いがある。 | (1)それが不正な差別にあたるか、(2)一定の立法目的に対して目的合理性があるか、という問題に分けられる。また、14条1項後段に列挙された事由にもとづく区別については原則として不合理を推定し、合憲と判断するためには強度の正当化理由の存在を要求し、公権力の側に挙証責任を負担させる。 |
人種 | 皮膚、毛髪、目、体型等の身体的特徴によって区別される人類学上の種類。 | 14条1項後段の列挙事由の一つ。外国人に対する取り扱いの区別は、人権享有主体性の問題であって、人種差別の問題では原則としてない。 |
信条 | 宗教や信仰、あるいは思想・世界観等。 | 歴史的には前二者が中心だが、今日では後二者も含まれる。14条1項後段の列挙事由の一つ。 |
性別 | 雄雌の区別のこと。 | 14条1項後段の列挙事由の一つ。男女の肉体的・生理的な条件の違いからくる女性保護のための合理的な区別は認められる。 |
社会的身分 | 人が社会において占めている地位のこと。 | 14条1項後段の列挙事由の一つ。社会的身分についての詳しい定義としては、(a)出生によって決定され、自己の意思で変えられない社会的な地位(b)社会において後天的に占める地位で一定の社会的評価を伴うもの(c)広く社会においてある程度継続的に占めている地位など、がある。 |
門地 | 家系・血統等の家柄を指す。 | 14条1項後段の列挙事由の一つ。明治憲法下で存在した華族、士族、平民等の制度が門地による差別の一例。 |
貴族制度の廃止 | 華族その他の貴族の制度は、これを認めない(14条2項)。 | |
栄典と特権 | 栄誉、勲章その他栄典の授与には、どのような特権も伴ってはならず、またその効力は一代限りであり世襲されてはならない(14条3項)。 | |
両性の平等 | 24条。明治憲法時代の家制度の解体と、新しい近代的な家族制度の構築を宣言した規定と解される。 | |
思想・良心の自由 | ||
信教の権利 | ||
表現の自由 | ||
知る権利 | ||
営利広告 | ||
パブリック・フォーラム | 一般公衆が自由に出入りでき、本来の利用目的のほか、表現のための場として役立つ場所のこと | 表現の自由と所有権・管理権との調整を判断する際に有用とされる概念。 |
職業選択の自由 | ||
居住・移転の自由 | 22条1項。「公共の福祉」によって制約されていることが明示されている。 | |
旅行の自由 | ||
海外渡航の自由 | 広義では、個人が外国に住所を移す自由のこと。狭義には一時的な外国旅行の自由を意味する。 | 22条2項。 |
狭義の海外渡航の自由の根拠 | (1)22条2項説(判例、「旅行」は「外国に移住」に含まれる)、(2)22条1項説(「旅行」は「移転」に含まれる)、(3)13条説(「移住」、「移転」、「旅行」、3つの観念の違いに着目)の対立がある。 | 形式的理由(1項は国内で2項は海外)、実質的理由(永住も認める以上出国も認めると解するのが合理的)から(1)説が妥当。 |
旅券法13条1項5号の合憲性 | 「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」に対して、外務大臣が旅券の発給を拒否することができると定める規定の合憲性の問題 | 文面が漠然かつ不明確として、(1)文面違憲説(多数説)(2)合憲限定説が主張されている。しかし、判例は(3)全面合憲説をとる。 |
国籍離脱の自由 | ||
職業選択の自由 | ||
財産権の自由 | ||
「正当な補償」 | ||
社会権 | ||
生存権 | ||
教育を受ける権利 | ||
学習権 | ||
教育を受けさせる義務 | 国民の三大義務の一つ。 | |
労働基本権 | ||
勤労の義務 | 国民の三大義務の一つ。 | |
納税の義務 | ||
違憲審査基準 | (a)厳格な基準、(b)厳格な合理性の基準、(c)合理性の基準の三類型がある。 | |
二重の基準論 | ||
比較衡量論 | ||
<参考文献>
芦部信喜『憲法(新版・補正版)』(有斐閣、1999)
戸波近二『憲法(新版)』(有斐閣、1999)
野中俊彦他『憲法T(第三版)』(有斐閣、2001)