刑事訴訟法の法律用語の定義・論点集です。
論点をとりあえず拾い上げてみることにします。
論文試験の前には空欄ができるだけ埋まっていればいいかな・・・と思います。
論点 | 問題の所在 | 詳解 |
---|---|---|
訴因変更命令義務 | 検察官の設定した訴因と裁判所の形成した心証が異なる場合、裁判所が訴因変更命令をすべき義務を負うかどうかの問題 | 原則として否定される。 |
訴因変更命令の形成力 | 裁判所が訴因変更命令を発した場合、直ちに訴因変更の効果が発生するかどうかをめぐる問題 | 判例・通説は否定。裁判所の訴因変更命令を受けて、検察官が訴因を変更する。訴因の設定権はあくまで検察官にある。 |
訴因と訴訟条件 | 当初の訴因では訴訟条件が具備されていたが、審理の結果裁判所によって形成された心証によると訴訟条件が欠けていることが判明した場合、形式裁判による判決を得るため訴訟条件を欠いた訴因に変更することが許されるか、という論点。その逆の場合もある。 | 訴因制度を有罪判決の獲得のための制度ととらえた場合、訴訟条件を欠いた訴因への変更(無罪判決を回避し、形式裁判を得るための変更)は許されないのではないか、という問題意識が背景にある。 |
供述証拠の特徴 | 事実を知覚・記憶・叙述という供述者の内面の心理過程を経て行われ、その各段階には誤りが入る恐れがあるため、推論を誤導する危険を有している。 | よって、反対尋問を経ない供述証拠は、原則として証拠能力を否定される、というのが伝聞証拠の禁止の趣旨である。 |
<参考文献>
池田修・前田雅英『刑事訴訟法』(東大出版会、2004)
田口守一『刑事訴訟法(第二版)』(弘文堂、2000)
裁判所書記官研修所監修『刑事訴訟法講義案−再訂版』(司法協会、1998)
松尾浩也・井上正人『刑事訴訟法の争点(第3版)』(有斐閣、2002)